協働エコシステム実証|人物型モデル
― 個人からチームへ。協働が拡張する最小単位の検証 ―
人物型モデルとは
人物型モデルは、一人の個人が協働エコシステムの起点となり得るのか、さらに 個人を起点とした協働が、どのようにチーム化・集団化されていくのか を検証する実証です。
多くの地域づくりは、組織・制度・拠点を前提に設計されますが、本モデルではあえて「個人」から始め、行動・関係性・影響力が協働をどう生み、拡張していくのかを検証してきました。
本実証では、樋口自身を対象に、長期間にわたる実践を行っています。
実証の出発点:認知と信頼の形成
人物型モデルの初期段階では、キャラクター活動やYouTubeなどの情報発信を通じて、地域内外での認知と親近感の形成を行いました。
単なる発信に留まらず、地域の出来事、人の挑戦、社会課題に向き合う姿勢を示すことで、「話を聞いてみたい」「相談してみたい」という信頼の入口が少しずつ生まれていきました。
社会貢献の積み重ねと相談の集積
情報発信と並行して、社会貢献活動や人助けを継続的に実践することで、地域内外から個別の相談が寄せられるようになります。
相談に対して、できる範囲で協力し続けることで縁が増え、個人を起点とした人のつながりが蓄積されていきました。
この段階で重視したのは、「すべてを解決する存在」になることではなく、関わり続ける存在であることです。
挑戦が生む「関わりシロ」
人物型モデルの核心は、樋口自身がさまざまな挑戦を続けてきた点にあります。
自ら挑戦することで、
- 手伝える余地
- 応援できる余地
- 一緒に考える余地
といった協力できる余白=関わりシロ が自然に生まれました。
この関わりシロに人が集まり、単なる知人関係ではなく、協働関係へと発展していきました。
個人からチームへ:ばいにゃこ村プロジェクトの形成
関わりが蓄積される中で、個人を中心とした 小規模団体・チーム(ばいにゃこ村プロジェクト) が形成されていきました。
これは、個人の活動を拡張するための組織化ではなく、協働を持続・拡張するための集団化です。
チーム化によって、
- 役割分担が可能になる
- 挑戦の幅が広がる
- 一人では辿り着けない成果に到達できる
といった変化が生まれました。
社会貢献活動の拡大とチームの効果
チーム化の効果は、社会貢献活動の規模にも明確に表れました。
滑川市において海岸清掃参加者が年々増加。
各種社会貢献活動では、累計約3,000人に及ぶボランティア参加を実現。
これは、個人の呼びかけだけでは到達できなかった規模であり、チームとして協働を設計・受け止める体制があったからこそ可能になった成果です。
ネットワークの拡張と影響力の形成
こうした実践を重ねることで、人物型モデルでは、個人および関与チームとして 20万人を超える関係人口と、大小さまざまな影響力を持つネットワークが形成されました。
重要なのは、影響力の大きさではなく、
- 人と人がつながる回路が、個人を起点に形成されたこと
- 個人からチームへと移行しながら、協働が連鎖したこと
です。
これにより、「個」から始まった協働が、集団として拡張可能であることが実証されました。
人物型モデルから得られた示唆
本実証から、以下の示唆が得られています。
- 個人の行動と姿勢は、協働の入口になり得る
- 発信と実践の往復が信頼を生む
- 挑戦は関わりシロを生み出す装置になる
- 協働は個人から始まり、チーム化によって拡張する
- チームビルディングは、成果のスケールを変える
これらは、
拠点型・地域型モデルへと展開する際の重要な基盤となっています。
他モデルとの関係性
人物型モデルは、協働エコシステム実証における 最小単位のモデルです。
- 人物型モデル:個人・チーム
- 拠点型モデル:公共施設・拠点
- 滑川市モデル:地域全体
- 富山県モデル:県域
人物型で検証した「関わりシロ」「協働づくり」「チーム化」の考え方は、以降のすべてのモデルの土台として活用されています。
まとめ
人物型モデルは、特別な肩書きや制度がなくても、一人の個人が協働エコシステムの起点になり得ること、そしてチーム化によって協働は大きく拡張できることを示しました。
関わりシロをひらき、個人からチームへ、協働が生まれ続ける環境をつくる。
その最初の一歩が、この人物型モデルです。