■ 協働エコシステム
― 関わりシロから始まる、協働が育ち続ける地域の仕組み ―
協働エコシステムとは
樋口が実践している「協働エコシステム」とは、単発のイベントや一時的な協力関係ではなく、市民・行政・企業・NPO・外部人材が、それぞれの立場で関わり続けられる「関わりシロ」を設計し、協働が自然に生まれ、育ち、循環していく地域の構造を指します。
担い手を集めることや、役割を割り当てることを起点にするのではなく、「どのような関わり方が可能か」「どこに参加の余地があるか」を可視化し、関わりが生まれ続ける土台を整えることを重視しています。
実践の核心:関わりシロと協働づくり
地域には、課題や資源、人材が存在していても、それらが十分に結びつかず、活かされないままになっているケースが少なくありません。
樋口の実践の核心は、
・「誰が担うか」を先に決めるのではなく
・「誰が、どのような形で関われるか」を設計することにあります。
関与の入口を複数用意し、小さな関わりから始められる余白を残すことで、関わりの深度が段階的に変化し、無理のない協働が立ち上がる環境をつくっています。
協働エコシステムを構成する3つの要素
1. 関わりシロの設計
市民、行政、企業、外部人材が「自分にもできそう」「少し関われそう」と感じられる参加の余地を意図的に設計します。
心理的・時間的なハードルを下げることで、協働の入口を広げます。
2. 協働プロセスの伴走
目的整理、合意形成、役割分担、実装までを一気に進めるのではなく、段階的に進めながら、関係性そのものが育つプロセスを支えます。
協働が続くための土台づくりを重視しています。
3. 実践と学びの循環
協働の現場で生まれた成功や失敗を振り返り、次のプロジェクトや人材育成に活かす循環を組み込みます。
実践が積み重なり、地域の中に知見が蓄積されていく構造をつくります。
なぜ「エコシステム」と呼ぶのか
協働エコシステムは、一つの事業やプロジェクトで完結するものではありません。
イベントが人を育て、人が次の企画を生み、企画が新たな関係性を呼び込む。
こうした連鎖が重なり合うことで、地域全体が「協働し続ける状態」へと近づいていきます。
そのため、固定的な制度や仕組みではなく、変化しながら育ち続けるものとして「エコシステム」という言葉を用いています。
実践フィールドとしての公共施設・地域拠点
公共施設や地域拠点は、協働エコシステムを育てるための重要なハブです。
樋口は、公共施設を単なる「利用される場所」から、人と人、活動と活動が交差する協働の基点として再設計してきました。
そこから、市民主体プロジェクト、行政との協働事業、関係人口の受け入れ、災害時の市民協力などが連鎖的に生まれています。
教育・実践への展開
協働エコシステムの実践を通じて得られた知見は、協働プロセス設計、中間支援、関係人口形成、地域教育デザインなどのテーマとして整理され、講演・研修・教育プログラムへの展開が進められています。
現在は、
・「関わりシロがどのような条件で協働につながるのか」
・「協働が持続するために必要な構造は何か」
・「協働が地域に波及していく為に必要な条件は」
という問いを軸に、実践知の体系化を進めています。
協働エコシステムが目指すもの
この取り組みの目的は、特定の事業を成功させることではありません。
・関わる人が増え。
・関係性が育ち。
・協働が日常化する。
そうした状態を、地域の中に根付かせることです。
関わりシロをひらき、協働が生まれ続ける土壌を育てる。
それが、樋口の実践の核心です。