協働エコシステム実証|富山県モデル(構想案)

― 協働が県域で循環する構造の構想と検証 ―


富山県モデルとは

富山県モデルは、人物型・拠点型・滑川市モデルで検証してきた協働エコシステムを、県域スケールへと拡張する構想モデルです。 特定の拠点や自治体に閉じることなく、富山県全体を「協働が生まれ続ける舞台」として捉え、地域間を越えて人・挑戦・プロジェクトが循環する構造の実装と検証を目指します。


構想の背景

― 地域単位では解決できない課題 ―

人口減少や担い手不足といった構造的課題は、単一の自治体のみで完結できるものではありません。 人物型モデルから滑川市モデルまでの実装を通じて明らかになったのは、
協働は地域を越えて接続されることで、持続性と厚みを持つという事実です。 富山県モデルでは、自治体の枠を前提条件とせず、越境的な関係性を組み込んだ協働構造を検証していきます。


富山県モデルの基本構造

富山県モデルでは、県内各地に協働エコシステム拠点を点在させ、それらをネットワークとして接続します。 各拠点は、

  • 地域の挑戦が立ち上がる場

  • 外部人材が関われる入口

  • プロジェクトが生まれ、育つハブ

として機能し、単独ではなく連携することで力を発揮します。


「冒険者ギルド」構想

本モデルでは、協働拠点を「冒険者ギルド」のような存在として位置づけています。

  • 指定管理制度を活用し、地域プレイヤーをギルドマスター(指定管理者)として配置

  • 協働エコシステム拠点を各市町村に展開し、相互に連携

  • 情報共有と評価の仕組みを導入

  • 指定管理費により地域プレイヤーの生活基盤を確保

  • 指定管理者は、課題を抱える人と解決できる人をつなぎ、
    依頼解決の報酬として持続的な収益を得る

この運用ノウハウを横展開することで、拠点を段階的に増やしていきます。

各拠点では、

  • 人が集まる

  • 挑戦(クエスト)が可視化される

  • 関わり方を選べる

  • 独自の経済循環(地域通貨的要素)を検討

といった構造を持ち、県内外の人材が関心やスキルに応じて地域プロジェクトへ参加できる状態をつくります。

県域までスケールすることで、遊び心や射幸性を取り入れた設計が有効に働くという仮説のもと、挑戦と人材が県内を巡る仕組みを構想しています。


関わりシロの県域展開

富山県モデルの中核概念は、これまでと同様に「関わりシロ」です。

  • 小さく関われる入口

  • 継続的に関われる役割

  • 深く関われるプロジェクト

  • 中心となるチームビルド

これらを県域で設計することで、居住地に関わらず地域運営に関与し続ける
「第二の県民」を増やしていきます。


交通・移動との接続

県域モデルでは、協働の広がりとともに移動の設計が重要になります。

空港・鉄道・バスなどの交通網と協働拠点を接続し、

  • 学び

  • 遊び

  • 実務参加

  • イベント

  • 災害時支援

が円滑に行き来できる構造を検討します。

協働を「参加したい人だけのもの」ではなく、
参加できる状態として設計することが目的です。


富山県モデルの位置づけ

富山県モデルは、協働エコシステム実証における現段階で最大スケールの構想モデルです。

  • 人物型モデル:個人・チーム

  • 拠点型モデル:公共施設・拠点

  • 滑川市モデル:地域(自治体)

  • 富山県モデル:県域ネットワーク

これまでの実証結果を統合し、
再現可能な広域協働モデルとして整理・検証していきます。


富山県モデルから得られる示唆(仮説)

本モデルの検証を通じて、以下の示唆が得られると想定しています。

  • 協働は自治体境界を越えて設計できる

  • 拠点のネットワーク化が人材循環を生む

  • 県域での関わりシロ設計は担い手不足を補完する

  • 平時と非常時を横断した協力基盤が形成される


今後の展開

富山県モデルは、滑川市モデルの検証結果を踏まえ、段階的に設計・修正される構想です。

特定の完成形を目指すのではなく、実装と検証を繰り返しながら、協働が循環する構造を磨き続けていきます。

※自戒として、以下の原則を常に確認します。
「前提を疑え」「成功に縛られるな」「変数を受け入れろ」


まとめ

富山県モデルは、協働を「点」や「線」ではなく、「面」として捉える試みです。 個人から始まった協働が、拠点を越え、地域を越え、県域で循環する。 その構造を実証することが、富山県モデルの核心です。


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